vol.08
山椒の野生種について①
山椒は、他の果樹に比べて栽培品種の種類は多くありません。栽培品種以外にも野生種が幾つか存在します。少し難しいですが、分類としてはミカン亜科のZanthoxylum属とFagara属に大別されます。日本で栽培されている山椒や中国の花椒は、Zanthoxylum属に属しています。ただ、文献によって、学名が異なることがあります。ここでは一般的な名称(一般名・学名)と、特徴をお知らせします。
■フユザンショウ(Zanthoxylum. alatum)
山椒属は冬に落葉してしまう品種が、ほとんどです。その中でフユザンショウは葉が僅かですが樹に残ります。恐らく、その性質からこの名前がついたのではないでしょうか?
【写真1】は11月中旬の様子です。この時期、ブドウ山椒は全て落葉しています。
【写真2】はフユザンショウの雌花です。ブドウ山椒などと違い、3~5月にバラバラの時期に開花します。その為、実の大きさが異なる果実があちこちにつくことになります。これまでの栽培期間中、フユザンショウの雄花は見たことがありません。
結実し、果実が大きくなり始めました。【写真3】は6月中旬の様子です。この果実は香りが独特で食用には適しませんが、漢方薬として利用されることがあります。効能は山椒と大きく変わりませんが、鎮痰作用などが有名です。
果実が成熟し、着色が始まりました。【写真4】これは7月下旬の様子です。果実の表面が凸状にデコボコしているのがお分かりでしょうか?通常、日本で食用としている山椒は、表面が凹状にデコボコしています。中国の花椒もフユザンショウと同じで表面は凸状です。
ブドウ山椒は1つの果実に1つの種子ですが、フユザンショウは1つの果実に、半円型の種子2つが入っていることが多いです。
一部の文献・資料では、花椒とフユザンショウが同種であるとの記載もあります。
実の付き方は良く似ていますが葉の形など、異なる点も見受けられます。