山椒の小部屋

JAPANESE PEPPER ROOM

vol.14

山椒の害虫について①

山椒はミカン亜科の植物です。ミカンを食害する昆虫は、ほとんど山椒にも害をなすことが多いようです。今回はこの中で特に有害なコスカシバ【写真1】についてご説明させていただきます。コスカシバとは聞き慣れない名前です。私も山椒栽培に関わるまでは、名前も知らない昆虫でした。小川町の里山には普通に生息しています。特に夏の朝方には、生殖の為か大量の成虫が飛び回ります。コスカシバの生態については専門外ですので、インターネット各ページ(みんなで作る日本産蛾類図鑑 http://www.jpmoth.org/ )などを参照させていただきました。


■コスカシバ(Synanthedon hector)

名前からして分かりづらい感じがしますが、スカシバという蛾の仲間の小さいものだと考えて下さい。大きいものはオオスカシバといいます。大きさは羽を広げて30mm位の小さな羽虫です。特に頑丈な顎も付いていません。なぜこの羽虫が山椒の恐ろしい害虫なのでしょうか。


【写真2・3】を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、コスカシバ幼虫は樹木内部を食害する害虫です。この写真の場合、細い枝に入った状況ですから、食害にあった枝を切除すれば大きな問題はありません。


【写真4】は、コスカシバ幼虫が山椒樹根本を食害してしまった状況です。木のカスのようなものが、沢山見えます。木のカスを手で退かすと、5mm位の穴が空いています。良く分からないのですが、幼虫は形成層(樹皮の下の柔らかい部分)が好物なのかもしれません。幹の胴回りを一周食べ荒らしてしまうことがあります。そのような被害を受けると、山椒の樹勢が弱り、枯れこんでしまいます。 また樹液が大量に出てしまう場合もあり、胴枯れ病などの病気を誘発する原因にもなります。

【写真4】の場合、直径5cmほどの太い枝が、風にふかれて折れてしまいました。


産卵は年に一度行なわれ、幼虫の姿で越冬します。成虫の出現ピークは9月頃ですが、春先から秋まで見ることができます。これは冬期に大きく成長した幼虫は、春先に成虫になり、冬期に小さな幼虫は秋に成虫になるためのようです。


防除方法ですが、①侵入した穴に殺虫剤を吹きかける。②冬期に幼虫の侵入した部分ごとハンマーで殴打し圧殺する。などの方法があります。どちらの方法を行うにしても、出来るだけ早い時期に防除をすることが、大変大切になります。